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第1部アントレプレナー大集合

 

第2回 アントレプレナーの主役はサラリーマン

 昨年の1月から11月に発生した企業倒産件数は全国で17,865件、年間累計では戦後2番目に多かった83年の19,155件を抜き2万件に達する勢いだ。倒産企業の従業員数も年間で18万人を突破する見込みだ。なかでも業歴30年以上の「しにせ企業の倒産」が3,239件も発生しており、日本経済全体が構造転換の嵐にさらされている。

「雇用の流動化」が進展

 市場経済のグローバル化の大波にもまれて日本の従来型のシステムが変革を迫られている。その中でも大きく変わろうとしているのが「日本型の雇用システム」だ。今までは、いったん就職すれば、定年まで働き賃金も増加していく、年功序列型の終身雇用という暗黙の了解があった。

急速に変化する労使関係

 年功序列型の賃金体系は、定年まで同じ企業に勤めないと社員は損をする仕組みとなっていた。このことは、自分の能力を生かせる企業が他にあっても転職は不利なため雇用は固定化される結果を招いてきた。しかし、近年の経済不況は企業の「リストラ」を推進させることとなり、能力主義の賃金制度を導入する企業の増加となっている。

 労働基準法の改正により、裁量労働制がホワイトカラー全般に導入可能となった。また、労働者派遣事業法の改正の動きも合わせ「労働分野の規制緩和」は大きく進展する。転職や解雇、出向などが頻繁に行われる「雇用の流動化」は不況が引き金となり一層加速していくだろう。

これは「企業がこれまで以上に社員個人の企業への寄与度を算出・選別する時代」「個人も企業を選別する力を問われる時代」にほかならない。

雇用は今後二極分化していく

 職業の細分化・専門化はますます進展するであろう。今後は企業もタスク指向を強めた経営を強く推進していく。効率良くタスクを達成するためには、一番強力なメンバーを組み短期間で終了させなければならない。そしてチームはタスク完了時点で解散する。つまり、特殊な分野に特化した仕事の能力はますます企業から求められることとなる一方、タスクの無い時には不要の存在となってしまう。ひとつの企業に長期間勤めるのではなく仕事のあるところへ行って仕事をするスペシャリストの流動化は急激に進むだろう。

 スペシャリストの流動化とは対照的に、ゼネラリストは長期雇用だ。どんな時代でもゼネラリストは必要である。スペシャリストだけの集団では企業は成り立たない。企業の経営活動全体をコーディネートしていく人材は、今後も長期雇用が主流となっていく。しかし、ゼネラリストの選別は二十歳代に完了、長期雇用が求められ認められるのは極一部の人間となるのである。

これからは「スペシャリストでもない」「ゼネラリストでもない」人間は、選別の大波にもまれ「雇用市場をさ迷う」こととなるのは間違いない。

増加する起業家たち

 IT(情報技術)系では「空間」「時間」「言語」等を問題としないバーチャルカンパニーが出現している。世界中からベストメンバーをプロジェクトごとに集め開発を行う、AパートはアメリカのB社、Cパートは日本のD社、EパートはインドのF社と言ったようなITを活用した国際的な共同開発だ。さらにこのメンバー選択は企業レベルだけでなく個人レベルにも拡大しつつある。

 労働力調査(総務庁98年11月)によると労働力人口6,772万人に対し、就業者数は6,481万人で,前年同月に比べ48万人減と、10か月連続の減少となっている。従業上の地位別にみると,雇用者は5,376万人,自営業主・家族従業者は1,090万人で,前年同月と比べ,雇用者及び自営業主・家族従業者共に減少となっている。一方、在宅ワーカー実態調査(日本労働研究機構)によると非雇用在宅ワーカーの半数は「専業自営」の就業スタイルをとっており「働きがい」など仕事へのインセンティブを求めて在宅ワークが選択されている。不況下にあっても、在宅ワーカーはアントレプレナーシップを発揮していることがわかる。

個人が構成するバーチャルカンパニー

 バーチャルカンパニーが進展することにより、そこで働く者にとって企業の仮想化が当然のごとく起ってくる。「A会社」と「B会社」の提携ではなくなり、仕事そのものの提携であるとともに個人の能力の提携となる。すなわち個人の意識として提携そのものが「個人」と「個人」の提携へと変わっていく。つまり、提携の単独企業の壁は無くなり、個人カンパニーが有機的に結びつくこととなるのだ。個人の専門性と提携力が問われる時代にあっては、従来型の企業組織の重要性は低下する。個人カンパニーが優秀であれば相対的に組織力は不要となるわけだ。組織で勝負しようとする為に巨大な組織を有するところはその維持コストに価格競争力を失うとともに、独自性の発揮が出来ず意思決定のスピードにも欠けることとなり競争の場から脱落することとなる。

新入社員時代から定年退職まで会社が用意した教育プログラムとキャリア形成を受け入れれば良かった時代は終わった。これからは会社は何も与えてくれない。個人カンパニーの経営者は自分自信なのだ。能力開発からキャリア形成まですべて自分でプランを立て実行する時代である。

フラット組織は個人カンパニー時代の前兆

 日本の大企業では中高年層のポスト不足対策の感もあったフラット組織であるが、個人の気持ちのレベルで従来のヒエラルキー組織では起きなかった状況が発生している。従来は一人の上司の命令に従っていれば良かったものが違う方向からいろいろな要求が直接個人に出されることとなった。つまり、このことが「上司に言われるままの仕事の仕方」から「個人の考え方を問われる仕事の仕方」へと個人の意識を変化させつつある。

 21世紀の企業経営は、「個人カンパニーの時代」へ否応無しに突入することとなる。その時は当然、5400万人のサラリーマンが主役となる。

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