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第2部先輩企業を研究しよう

 

第10回 指紋照合・テクノイマジア

 パソコンが企業や一般家庭に大量に普及するとともに、それぞれがネットワークで結れた社会が実現し始めた。これは、今までの企業の中だけの限られた世界からオープンな世界へと変化していくことを意味している。そして、オープンになればなるほど、当然起きてくるのがセキュリティーに関する問題だ。今、機械を操作しているのが本当に本人なのだろうか。人間対人間の時にはそれほど問題とならなかったことが機械を媒体としたネットワークの社会では大きな問題となる。

 セキュリティーに関わる技術は主に軍事利用を目的に発達してきた。しかし、高価なものでありコストが重視される民生用には一部のものを除いて適さなかったといってよい。

このような環境にあって指紋照合システムの研究開発に実績を上げている企業がある。

今回は、圧縮技術を利用した指紋画像処理で活躍しているテクノイマジア鰍紹介する。

指紋照合とは?

 テクノイマジア鰍フ指紋照合システムは、大きくは、@指紋のスキャニングとA指紋画像データの処理とパターン認識の2つのパートからなっている。「指紋のスキャニング」は、プリズムの全反射を利用するものとシリコンセンサー等を利用したプリズムレスの機構を組み合わせ、個体差による指紋画像の最適読取機構を実現している。半導体チップを利用したものは、直射日光に強く屋外での利用も可能だ。「指紋画像データの処理とパターン認識」は、直行変換、ニューラルネットワーク理論、フラクタル理論、ファジー理論等の計算手法を利用して指紋画像のパターン認識を行っている。

システムの特徴

 @高い照合精度:25万本に及ぶ「指の画像」サンプルを収集し,統計処理をしている。A高速検索:Pentium 200MHzのCPU能力で、平均で毎秒5万本の指を検索できる。B少ない保存データ量:1本の指紋データ量は、130260バイトと非常に少ない。C高い照合パフォーマンス:指の乾きや湿り具合を自動判定し,最適条件での指紋画像の読み取りを行う。照合時の指の置き方は、指の角度や向きに依存しない。D高いセキュリティー性:照合アルゴリズムは、ICチップの中に埋め込まれており外部へ引き出すと暗号化されて出力される。

企業プロフィール

本社:東京都墨田区、設立:1995年(創業1973年)、資本金:5千万円、売上高:2億2千300万円(98年9月期)、代表取締役社長:香田浩氏(1954年生れ)、従業員数15名、営業種目:指紋照合システム、CTSシステム、MIXシステムの開発・製造・販売。主な取引先:沖電気工業、川崎製鉄,新日本製鉄、大王電子、日本IBM、他。出願特許:ファクシミリ受信装置及び送信装置(1995年出願)、自動絞り機構を備えた指紋のパターンの読取装置(同)、移動プリズムを用いた指紋読取方法及び装置(同)、電子計算機に接続可能な指紋照合装置(1996年特許出願)、環境光の影響をカットした小型指紋読取装置(1997年出願)、吸着性粘弾性膜を付着したプリズムを用いた指紋読取方法及び装置(同)、遠隔地からの指紋登録方法及び指紋登録装置(同)、指紋認証による決済方法(同)、耐摩耗性に優れた弾性膜を付着したプリズムを用いた指紋読取方法及び装置(同)。その他:東京都創造的事業活動認定企業。

URL:http://www.technoimagia.co.jp/

香田社長への一問一答

香田浩社長に会社経営について聞いてみた。

Q経営方針は?

(香田)常に環境の中に新しい機会を見つけ、社会との調和を図り、利益も重視しながら成長を指向していくことです。

Q具体的な経営戦略は?

(香田)当社は、常に世界を視野に入れて指紋照合装置の開発を心掛けてきました。それは、指紋照合装置でデファクトスタンダードの地位を確保することです。

これは、次の4つのステップで実現していきます。

 ●Step1:技術的に優れた製品で世界シェアを押えること。

 ●Step2:世界の標準規格製品の座を獲得すること。

 ●Step3:大量生産の効果でコスト競争力を高めること。

 ●Step4:後の技術開発でも優位に立つこと。

Q起業家としての夢は?

(香田)この事業をステップとして次の起業家を育てることです。

Q会社の将来像は?

(香田)企業規模の追求ではなく、社会に役に立つ製品を提供できる会社にしていきたいと思っています。そして、「いつも新たな発想ができる環境がある会社」でありたいです。

Q会社と従業員の関係は?

(香田)今は、立ち上がりの時期なので色々な面で我慢をしてもらっているので、近い将来にはそれに報いたい。社風としては、経営者と従業員を問わず何でも話せる環境にはあります。

Qなぜ指紋照合装置を商品化したのですか?

(香田)次の理由から商品化を決意しました。

@10年以上の研究開発の実績があった。

A社会に貢献できる商品だから。

B市場が世界中にあると考えられたから。

Q将来の商品はどのようなものですか?

(香田)次の2つの商品化をめざします。

@非接触タイプでローコストの読み取り機構を持った指紋照合装置。

A携帯端末に搭載できるサイズとコストの指紋照合装置。

Qベンチャー起業家の方へアドバイスを!

(香田)皆さん、個々に頑張られていることと思います。アドバイスをする立場ではありませんが、私は、自分に対していつも創業時の『夢』の実現を忘れないよう心掛けています。

Q最後に「座右の銘」はなんですか?

(香田)JUST DO IT

人間である証でもある指紋を利用した照合システム。機械と人間のインターフェースとして「より人間的な商品」となることを期待する。