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第13回 放送のデジタル化に焦点・日本ビデオニュース

日本における放送のデジタル化(放送ビッグバン)は、CS放送に始まり地上波の放送へと急速に進んでいる。さらに、郵政省は2010年にはアナログ放送を終了させる方針だ。番組制作の部分では既にデジタル化は進んでおり、撮影から編集等のポストプロダクションまでその作業形態は大きく変化した。そして、放送のデジタル化は劇的な多チャンネル化を可能とするため、アナログ地上波の時代(東京で7チャンネル)と比べ各局は番組供給能力の大幅増強を迫られている。

今回は、この拡大するマーケットに注目しVJ理論を唱えテレビ界に革命を起こそうとしている日本ビデオニュース鰍紹介する。

TVが報道の主流

湾岸戦争において、米国のCNNニュースが多国籍軍の上陸の様子を映像付で生中継したとき報道の主流がテレビへ移ったと言われている。そこには、かつての従軍記者の姿はなく、まるでスポーツを中継するような雰囲気ですらあった。そして、家庭のTVに映し出された戦場からの映像は、あまりにもリアルであるため、まるでドラマを見ているような錯覚すら視聴者に与えるものであった。これは新たなビデオジャーナリズムの誕生でもあった。この事件は、日本のTV界にも大きなインパクトを与え、ニュース番組は変容を遂げることとなる。つまり「原稿朗読型のニュース番組制作」から「映像重視型のニュース番組制作」への変化だ。結果として、映像のないニュースは放送されにくくなり、当然、制作コストの上昇を招くこととなる。

ビデオジャーナリストがニュースを変える

日本ビデオニュース且ミ長の神保氏はテレビについて語る。「最近のTVは設備重視産業になってしまった。ソフト重視といいながら設備にお金をかけ機材の力で付加価値を付けようとする。活字では小さな出版社も多数あり各種の情報を発信しているが、テレビは大資本にしかできない産業となっている。ビデオジャーナリストが低コストのニュース素材を供給することによってニュース番組をより身近なものへ変えていかなければいけない。これをVJ理論で実現させる。」と。

VJ理論とは

VJ理論とは、ビデオジャーナリスト(VJ)がビデオの3要素である、映像・音声・ナレーションをツールに、人々に取材した内容を正確に伝える目的で開発されたニュース制作理論。ビデオとジャーナリズムを有機的に結合させたシステムは制作コストを従来型システムの5分の1以下にダウンさせた。VJが一人でデジタルのビデオカメラを担ぎニュース現場で取材にあたる。当然、映像だけでなく現場の音声やインタビューも一人でこなすこととなる。つまり、映像や音声の技術者である前にジャーナリストとしての資質が問われることとなる。単に一人ですべてやる低コストだけが売り物ではない。

VJでケーブルテレビを活性化

地域メディアとして期待されてきたCATVも放送ビックバンに飲み込まれてしまいそうだ。番組制作の高コスト構造が自主制作番組の足を引っ張る。何とかその存在価値を見出すための手法としてVJを取り入れる企業もでてきた。

武蔵野三鷹ケーブルテレビ鰍ヘ、ビデオニュース社の研修プログラムを導入、地域メディアとしての情報発信機能の強化に取り組み始めた。研修プログラムの内容は、2週間にわたり、神保氏がケーブルテレビ局のスタッフをOJTにより徹底的に指導していくものだ。毎朝のミーティングから始まり、その日のニュースを調査。スタッフ全員がカメラを持って町へ取材に出ていく。放送前のポストプロダクション部分も一人でこなす。原稿書き、ナレーション取り、画像の編集といそがしい。夕方6時のニュースまで時間との勝負となる。放送終了後は神保氏を中心にミーティング。VJとしての基礎的な考え方、ノウハウがスタッフに徹底的にたたきこまれていく。

企業プロフィール

会社名:日本ビデオニュース株式会社、所在地:東京都港区六本木、代表取締役:神保哲生氏、設立:19964月、資本金:16千万円、事業内容:ニュース番組制作・販売、CATV向けコンサルティング業務、海外映像通信社東京支局業務、ニュース制作、所属ビデオジャーナリストによるニュースリポート、ドキュメンタリーの制作。ニュース番組の制作。主要取引先:TBS『筑紫哲也NEWS23』、テレビ朝日『ニュースステーション』、NHK『日曜スペシャル』など。

ビデオジャーナリストセミナーを通じたビデオジャーナリストの育成。コンサルティング:全国のCATVにローカルニュース専門チャンネルを導入するためのVJ育成トレーニングの提供。オールデジタルVJステーション構築のためのコンサルティング。

URL:http://www:videonews.com/

インターネット放送へ挑戦

日本ビデオニュース鰍ヘ、次世代技術を利用したインターネット放送にも挑戦している。葛、同通信マーケッツ、日本IBM梶Aアットマークベンチャー鰍ニ共同で、東京金融市場の動きを伝える「ブリッジ・共同マーケットニュース」のインターネットによるオンデマンド配信だ。1999112日から実証実験として開始した。
 http://video.ibm.co.jp/videonews/

当実験では、日本IBMの動画配信・管理ソフト「VideoCharger 」の動画ストリ−ミング技術を用いて動画を圧縮。TV並の品質でインターネット上で番組のネット配信を行うものだ。「ブリッジ・共同マーケットニュース」は、日本ビデオニュースが制作、共同通信マーケッツが毎日1回夕刻に、MXテレビ(東京ローカル放送)および関連ケーブルTVなどに配信、放映中の2分間番組(株式、外為、債券の1日の動きをまとめ、アナリストによる解説を加えたもの)で、実証実験の現段階では約半日遅れで翌朝からインターネット上のIBMホームページでの視聴が可能になる。動画データは、衛星インターネット接続サービスに対応した約450kbps ISDN等に適した128kbpsの2種類の速度で配信している。