講演会のレジュメを掲載
 

「企業内で診断士の資格を生かす方法」

 1997.12.6 

中小企業診断士

宮崎博孝

1。最近の企業環境

 (1)最近の倒産状況

@97年1〜10月の合計負債額は9兆2574億6000万円で、すでに96年の年間合計7兆9944億900万円を1兆2630億5100万円上回り、年間負債額が過去最悪だった95年をも上回る史上最悪を記録した。

A11月の倒産ですでに東証1部上場の証券会社、三洋証券が会社更生法を申請、グループ8社も自己破産を申請し、9社合計の負債額が7851億7681万円にのぼっていることから、1年間の負債総額は11兆円を超えることは確実となっている。

B10月倒産の主要ポイント
・倒産件数1614件、11年振りに1600件台へ急増。前年同月比20.4%増。
・負債総額4769億200万円、過去6番目の水準。
・不況型倒産は1116件、97年3月を抜いて過去最悪を更新。
・業種別では、製造業を除くすべての業種で前年同月比増加。
・特に建設業の増加率47.7%は今年最大、件数492件は16番目の高水準。

C今後の問題点
・倒産が中小企業から中堅、大企業へ焦点が絞られてきた。
・業種が金融機関、建設業、流通業という3大業種に集中している。
・規制緩和後の整理再編の図式が見えてこない。
・行財政改革のもとで景気対策は完全な手詰まりに陥っており、輸出停滞の兆しも加わって、不況感はかなり深刻なものとなってきた。
・金融機関は、98年4月に導入される「早期是正措置」を前に、不良債権の前倒し処理やリスク資産の早期圧縮に乗り出すなど、「疑わしきは融資せず」という急速な信用収縮によって中小企業に対するクレジット・クランチが本格化の様相を呈している。

(2)硬直化した組織の相次ぐ崩壊

@増大する政治不信
・出口が見えない政治改革
・下がり続ける投票率

Aガタガタの金融システム
・山一証券倒産
・社員7500人の今後は?
・北海道拓殖銀行倒産
・北海道ではあこがれの大企業が突然消滅
・徳陽シティ銀行倒産
・日産生命倒産

B逮捕者続出の大手企業
・大手総会屋との違法なつきあい
・上司の命令が違法行為になってしまった
・自分の身は自分で守る時代
・上司がたよりのサラリーマンパラダイムの崩壊

(3)複雑系(complexity)の組織が企業を救う

@企業は生命
・機械論パラダイムから生命論パラダイムへ
・機械は設計したときから古くなる

Aトップダウンとボトムアップ
・政策先行のトップダウンでは世界に通用しない
・真の戦略性とはトップダウンとボトムアップが同時に行われること

B要素還元主義の限界
・プロセスとしての社会
・機械部品(社会)の分析だけでは未来は見えない
・未来は予測しないで、創造する
・個人カンパニーの時代
・バーチャルカンパニーの出現
・企業組織は個人カンパニーが戦略的提携をする場

Cアントレプレナーシップ
・今後は企業の中にいてもアントレプレナーシップを求められる時代
・個人カンパニーとの提携力が個人の能力を決める

(4)個人カンパニーの自覚

@サラリーマンはサービス業
・労働時間は商品ではない
・自分が売っている商品は何か
・品質が悪ければ2度と客は来ない
・サービス業の特徴
・生産と消費の同時性
・無形性
・異質性
・不可逆性
・時期集中性

A戦略的マーケティングの枠組み
・事業ドメインの設定
・「顧客ターゲット」+「顧客ニーズ」+「サービス商品と提供形態」
・サービスマーケティングミックスの設定
・サービス商品ミックス
・提供形態
・プロモーション
・店舗と供給施設

B戦略ポジションは「オープン・プロセス型」
・サービス業の戦略ポジション
・「オープン・プロセス型」
    不特定多数の顧客に一過性のサービスを人的接触で提供する
・「オープン・ルール型」
  不特定多数の顧客に一過性のサービスを仕組みや施設で提供する
・「クラブ・プロセス型」
  限定した顧客との長期関係の中でサービスを人的接触で提供する
・「クラブ・ルール型」
  限定した顧客との長期関係の中でサービスを仕組みや施設で提供する

・「クラブ・プロセス型」から「オープン・プロセス型」へ
  自分の会社内だけがマーケットではない
・顧客ターゲットは?
・商品(自分自身)の市場価値はあるか
・社内の常識は社外の非常識
・今日、会社が倒産したら

C決算書を作ろう
・貸借対照表(B/S)
・流動資産
・すぐ稼げる商品(会社の仕事、アルバイト)
・固定資産
・資格、著作権、ネットワーク、不動産、設備
・負債
・自分の仕事を手伝ってもらえる人、外注企業
・資本
・本人、家族、親友
・損益計算書(P/L)
・交際費
・飲み代、スポーツ紙、芸能週刊誌
・図書調査費
・専門書、学術書、一般週刊誌、新聞、
・教育研修費
・講習会、研究会
・厚生費
・体力養成
・財務分析
・不良資産はないか
・資格財産もきちんと評価
・固定資産は適正か
・資金調達は適正か

D予算書を作ろう
・単年度予算
・費用計画
・投資計画
・中期計画予算
・事業計画
・投資計画
・非常時予算
・資産の流動性分析(現金化)
・最低必要費用(生活費)
・見込売上高
・見込収益

 


2資格の業態化戦略

 

(1)まずは、SWOT分析をやってみる

@自分の会社のSWOTを把握

外部環境分析

内部環境分析

強み 機会
弱み 脅威

A自分自身のSWOTを把握
・強み
・中小企業診断士
・経営コンサルタントのプロ資格
・弱み
B機会
・人事制度(終身雇用制度)の見直し
・年報給与、職能給与、出来高給与
・企業業務のアウトソーシング化が進展
・管理部門の削減、各種コンサルティング需要増加
・資格所有者がいない、少ない
C脅威
・競争激化
・資格取得ブーム、みんなが勉強
D資格は最大の武器
・資格を持っていれば説明は不用
・中小企業診断士はゼネラリストの資格
・国家資格は説明不要
・資格取得がアイデンティティを確立する
・武器は常に最新兵器に更新する
・資格を取得した日から勉強が始まる
・診断士ネットワークを活用しよう
・積極的な活動が自分の知識、技術をみがいてくれる

(2)戦略立案プロセスを活用した差別的優位性の発揮

@徹底した差別化戦略を実行しよう
・市場細分化戦略の採用
・サラリーマンにとって市場は何か?
・どう細分化するか?
・商品差別化戦略の採用
・サラリーマンにとって商品は何か?
・競争に勝てる商品は何か?
Aニッチ市場を探そう
・自分の会社の弱みは?
・コンペティターの弱みは?
・未開拓市場はないか?
B差別化出来る商品を開発しよう
・理論だけでは商品価値は低い
・社内の共有データに裏付けされた理論武装が決めて
・プレゼンテーション力が商品価値を左右する

(3)プロモ−ション戦略を成功させよう

@中小企業診断士は「優秀な人材」である
・まかせて安心「中小企業診断士」
・神話作りが善循環を生む
・マスコミ資料を活用する
・自分がリーダーとなろう
Aデビュープログラムを策定する
・中小企業診断士の登録日を自分で決める
・登録日の1年前に社内へ宣伝開始(4月)
・難しい試験であること
・試験が3回あること
・3次実習があることを特にアピール
・7月には1次試験を話題に
・試験の手応え
・試験問題
・9月には2次試験を話題に
・11月合格したら、なるべく多くの人に合格をアピール
・3次実習があることを特にアピール
・関係者との実習中のスケジュール調整を早めに
Bデビュー後の力の発揮が評価を左右する
・常に診断士を意識した行動をする
・社内報告書はプロの意識で作成する
・中小企業診断士の勉強で得た知識はフルに活用する
Cアントレプレナーとして会社内に「ゆらぎ」を起こせ
・コンフリクトが組織を活性化させる
・ニューパラダイムの創造

(4)これからの企業内アントレプレナーの条件

大企業にとって不可欠な人材とは

「戦略的提携力」を身につけた人であり

この能力を「社外との提携」だけでなく「社内」の「個人カンパニー」

との提携も促進できることが重要である。